飲み物について

実家で暮らしていたときは水分補給の8割を母お手製の麦茶でまかなっていた。麦茶といえば、日本人の冷蔵庫内液体トップシェアを誇るどこの家庭にもある飲み物だろう。麦茶の良いところはその存在感の無さだと思う。食事の時は食卓の主役たちの邪魔をせず、喉が渇いているときは無理なく一気に飲める。麦茶は喉壁面摩擦抵抗が極端に小さくなる物質らしい。しかし、麦茶好きはあまりきかない少数派であることは事実で、麦茶はお茶界の影の王者なのかもしれない。


実家を離れればお茶製造担当の母がいなくなるわけだから、麦茶が飲みたければ自分で作るしかない。しかし、先にも言った通り麦茶が好きかと聞かれれば好きでもない。お茶を沸かすのはキッチンに立たねばねらぬし、いささか面倒だ。さて、どうしよう、と考えた時にひとつ気づいたことがある。

 

僕は別に麦茶が飲みたくて飲んでいたわけではなく、麦茶がそこにあり、水分補給として一番手っ取り早かったからだ、と。水でも良くないか、と。なんなら、水の方が味の主張がなく、理想的ではないか、と。

 

そういうわけで、僕の水分補給の9割は水になった。
大抵、僕のカバンの中には、いろはすクリスタルガイザーが身を潜めている。たまに、アルプスの天然水。

明確にこれが飲みたい、となって飲み物を飲むとき以外、つまり、純粋な水分補給では水で十分足りると思う。

 

たまには、清涼飲料水を飲みたくなる時もある。しかし、もっぱらコカ・コーラだ。しかも、ゼロ。赤コーラは黒コーラが無かったときの妥協策でしか飲まない。
黒コーラ派が僕の周りに圧倒的に少ないのは不思議で仕様がない。人工甘味料の味が苦手なのだろうか。踏み込んで議論していないので詳しいことは知らない。
僕から言わせてもらえば、赤コーラは甘過ぎる。甘いものは大好きだが、清涼飲料水の甘さは好きじゃない。甘さそのものではなく、口に含み喉を通ったあとも、口のなかに残る甘さとねっちょりした感じが嫌いだ。飲んだらうがいしたくなる。それに比べ黒コーラはスッキリしてるのがいい。
それと、黒コーラの方が炭酸も強い(気がする)。赤コーラが砂糖水に炭酸を加えてできたものなら、黒コーラは炭酸水に人工甘味料を加えてできたもの、みたいな感じ。

 

コーラと似て非なる黒い悪魔的な液体がこの世にもう1つある。コーヒーだ。コーヒーなしではもう生きられない身体になってしまった。
どちらも好きとなるとただのカフェイン中毒者なのかもしれない。