まだその時ではない

 アニメSHIROBAKOが映画化されるということで、そろそろ放送分を観ないと映画いけないな、と思い今回は書いている。
 アニメにしろ小説にしろ「オススメなにかない?」と尋ねた時に快く薦めてくれる友人は、僕の知らない世界を広げてくれる数少ない窓口だ。しかし、次に会ったとき、「あれ!どうだった!?」と餌を前にして待てを命じられる犬のように感想を求められても、「まだ観てない」と答える、なんてことが多々ある。友人の薦めてくれたものに興味がなかったわけではない。しっかり面白そうだと思った場合でも。
 「なんでまだなの?」と問われれば、「まだその時ではない」と返答する。「なら、いつその時が来るの?」と問われれば、「いつかはわからない」と返答する。
 この行動の原理は、空腹は最高のスパイス理論に基づいている。美味しい料理を食べるのに、空腹かそうでないかならば、空腹の時に食べた方が美味しく感じる。お腹が満たされている状態で食べて、空腹だったらもっと美味しくいただけたのかも、なんて後悔をしたくない。記憶喪失にならない限り、その料理を食べる初めての瞬間は1度きりなのだから。それならば、そのコンテンツをある程度欲している状態で味わいたい。
 薦められた時点では自分の内からの欲求ではない。友人の言葉は外的要因であり、外からかき立てられた意欲だ。まだ寝かしておけば、いつかその意欲を越す日が来るかもしれない。すぐに手を出すのはもったいないと思ってしまう。
 これに1番近い行動は積ん読だと思う。本屋では読みたくて買った本だけど、「その時」でなければすぐには読まない。寝かせておいて、読みたい欲求が自然と溢れたときが「その時」だ。
 1年以上寝かしておくこともよくある。SHIROBAKOなんかは恐らく2年以上、早く観ろと言われている。2年間も「その時」が来てないなら、一生来ないんじゃないか、と言われることもある。来ないこともあるかもしれない。そればかりはわからない。