起床について

 有名な物理法則に慣性の法則というものがあって、それは起床時にも例外ではない。少し前まで寝ていた人間はそのまま寝続けようとする。それに加え、朝方は布団との万有引力が距離の2乗に反比例せず、通常時より大きくなることも知られている。小さな妖精がまぶたを無理やり下ろそうとしてくるという報告もある。お互いこのままではよくないと思ってるのに別れを切り出せずにいるカップルみたいに、布団との関係もズルズルと続いて起きられないのは万国共通だ。
 そこで、朝という貴重な時間を搾取する布団との戦いに終止符を打つべく、僕は作戦を立てた。題して、第二布団速度実現プロジェクト。到達目標は二度寝せずに完全覚醒すること。目覚まし単体ごときでは太刀打ちできないのはわかっているので、目覚ましで目を覚ました後、プラスαで完全覚醒する必要がある。それで、簡単に思い付く方法から実行してみた。


案その1~日光浴法~

 朝、日の光を浴びることで目が覚めるといういたってシンプルな方法。準備は夜寝る前にカーテンを開けておくだけ。朝になれば日が差し込んできて起きられる。
 いざ、実行してみると、目覚ましを7時にセットしていたのに、日の出はもっと早く6時過ぎには目覚めてしまった。まだ少し寝れるなと思い二度寝し、目覚ましを無視し失敗に終わる。日の出の時刻まで制御することは不可能。


案その2~日光浴法(改)~
 カーテンを開けたままだと日の出の時刻に強制目覚ましという事態が起きてしまう可能性があるから、ならば、起きて日光浴すればいいじゃないか。ということで、改良点はカーテンは閉めたまま眠り、朝、目覚ましで起きたらカーテンを開けて日光を取り込む。
 目覚ましの音で7時に目が覚め、気力を振り絞って手を伸ばしカーテンを開ける。が、しかし、日光に瞬間的な覚醒作用がないので、布団に引きずり戻され敢えなく失敗。


案その3~ストレッチ法~
 朝起きてストレッチをすることで血の巡りを良くしスッキリ起きようということだ。
 布団の上でストレッチしているうちに眠くなってそのまま倒れて失敗。


案その4~朝ニコチン法~
 ニコチンを吸入することで無理やり血流を早くし覚醒へもっていく作戦。寝る前に枕元にiQOSをおいて準備万端。ここで、紙煙草では外に出ないといけないため、布団の上でそのまま吸えるiQOSを選択。
 7時に起床し、間髪いれずにヒートスティックを差し込み電源をONに。20秒の加熱待機で寝落ちしそうになりながらも、寝ぼけながらニコチンの吸引に成功した。が、確かに覚醒はしたんだけど、頭くらくらするし、負担が大きい。体に悪いって警告が体から発せられているようなのでこれは使えない。


案その5~マウスウォッシュ法~
 結果から言おう。これが今最も確実な起床法である。マウスウォッシュとは洗口液のことである。刺激の強めな洗口液を使う。僕はリステリン使用。
 起きて洗面所へ行き、洗口液で口を濯ぎ、目が覚める。刺激が強いものを使えば瞬間的に覚醒できる。ルーティーンとしても簡単である。口の中に刺激物を含めば大体目が覚める理論である。これで9割起きれるようになった。残りの1割は、洗面所まで行く気力が足りなかった時である。

 これを書いている現在2時前なので、起床法を説いておきながら、明日の朝は起きれそうもない。