鼻について

「よく鼻血が出る人いるでしょ?あれは鼻腔内に毛細血管が張り巡らされているからなんだけど、何でそういう構造になってるか分かる?寒い所で口呼吸すると肺が痛くなる感覚を味わったことがあると思うけど、鼻呼吸をすると大丈夫なんだよね。口呼吸と鼻呼吸では肺に空気が到達するまでに1秒くらいラグがあって、鼻から吸引された冷たい空気は鼻腔の毛細血管で温められて肺へのダメージを軽減できるってわけ」

 以上、医学科の友人が、わざわざインドで教えてくれた鼻のまめ知識。

 僕について語るとき、鼻は切っても切り離せない話題である。自分の鼻については何も語ることはない。特別素晴らしい鼻を持っているとも思わないし、コンプレックスがあるわけでもない。他人の鼻が問題である。人の容姿について語るとき、鼻は大きなウエイトを占めてくる。この人の鼻素敵だな、って思う人は問答無用で僕からの好感度が上がってしまう。たかが鼻が良い形をしているだけなのに。爪と違って違和感や嫌悪感を抱くことはない(一般的で特異でない鼻なら)。鼻に惚れるってだけである。

 鼻は顔のどこについているかご存知?そう顔の中心である。顔のパーツで鼻が重要なのは自明のことである。鼻がどれだけ重要かがピンと来ていない読者諸賢は某名前を口にしてはいけない闇の帝王を思い浮かべてくれれば鼻が如何に重要か、お分かりいただけるだろう。闇の帝王ともなれば鼻がないことなど、取るに足らぬことなのかもしれないが。しかし、いつも思うのは、あれじゃ眼鏡掛けられないなぁと。

 どういう鼻がいいのか理論をまだ自分の中でも昇華できていない。見て、好きか否かの判断しかできない。とどのつまり、まだ僕はアマチュアということだ。しかし、まあ、鼻のプロになるつもりもないので、自分の好きな鼻が判別出来るだけで満足である。

 1つ分かってることは、存在感が重要だということだ。全国の小さい鼻クラブの皆さんを貶しているわけでなく、個人の好みの問題として。今まで出会った美鼻はいずれも鼻の主張の塩梅が丁度いい。顔として認識される前に鼻が1つの存在として認識される必要がある。しかし、高すぎても大きすぎてもシャープすぎてもダメなのだ。もうこれはどの程度どうだといいとかいう問題ではなく僕には経験からくる判断しかできない。芸能人でいうと仲里依紗能年玲奈がとてもとても素敵な鼻をしているので参考までに。

 万城目学の著書『鴨川ホルモー』の主人公も確か鼻好きだった気がする。僕の他には、彼しか鼻同業者を知らないので現実世界にいないことが大変残念である。鼻談義に花を咲かせたかった。鴨川ホルモーを読むことで、僕が素敵な鼻に出会ったとき、どのように感じるのかを部分的にではあるが理解できると思うので、鼻に目覚めかけてる人は一読することを勧める。